リーフキャスティングの歴史

大量修復を目指して 〔リーフキャスター〕の発展を中心に

世界では、リーフキャスティング法は「大量にある資料に要する手繕い時間の短縮化」が最大の長所と認められています。手作業による繕いは、作業が遅々として進まないことが多く、時間がかかることにより修復コストがかさみ、予算の兼ね合いで修復できる点数を増やすことができませんが、リーフキャスティング法による修復ならば、時間をかけず、比較的低コストでの処置が可能なので同じ予算でも多くの資料を修復して、利用に供することが可能です。
リーフキャスティング法は、今や、選択することができる修復技術のひとつになっています。しかし、ただ機械があれば誰でも修復できるというものではありません。その技術の原点や理念といった歴史的な背景に対して十分な認識を持つことは、リーフキャスティング法を行なう修復技術者にとって重要なことです。大量にある活用されるべき劣化損傷した資料を前にしながら、新しい修復技法を研究、開発、確立していった先人の意気込みは、長く語り継がれるべきことだと考えます。
本稿は、リーフキャスティングの技術を支える機械〔リーフキャスター〕の発展を中心に、リーフキャスティングが世界に広まっていった状況を述べていくものです。リーフキャスティング法が、手つかずの膨大な損傷資料救済という意味において、大量修復の目的を果たす役割をもって開発されてきたという経緯が再認識され、我が国でも、より積極的に採用され、多くの傷んだ資料の修復に活用されるようになれば幸いです。
[これからも 新しい情報や発見、またはこの記述の中に誤認もあると思いますので、そのたびに内容を改変していきたいと思います。]

このテキストは、2007年に刊行された『小平市立図書館の資料保存と古文書補修: 東京都文化財保存事業「小川家文書保存修理」に関する報告書』〔https://library.kodaira.ed.jp/local/komonjo.html#05〕においてTRCCが記述したテキストを基に、抜粋または変更、内容を加えています。