BCPレポート 被災企業訪問記 経営者に聞く
■【株式会社 マイヤ】 従業員のコンプライアンスの意識の高さとステークホルダーの皆さんに支えられて
■【株式会社 高田自工】 多くを失い、歯がゆい状況でも、絆に後押しされてもう一度復興を
■【株式会社 阿部長商店】 ひとつ屋根の下-経営者と従業員の共同生活の中から生まれてきた「融合」
事業継続マネジメントとアーカイブ
2011年7月、大震災による大きな被害に見舞われた三陸沿岸地域で、震災の時の様子と、その後の事業継続について、3つの会社の経営者からお話を伺う機会を得ました。
事業継続マネジメント(BCM)が注目されているなかではありますが、図らずも苦境に立たされた経営者からのお話は、絵に描いた餅や机上論ではなく、生の情報で溢れていました。3社それぞれ経営規模や被災状況も異なりますが、大きな苦難に出会いながらも、会社というものを維持していくというBCMの実践を積み重ねながら、明日への希望を、辛抱強く、粘り強く繋げていっている姿勢は、いずれの会社も相違がありません。
皆さんの話は、BCP(事業継続計画)という話にとどまらず、CSR(会社の社会的責任)の重要性にまで広がりを見せています。それは「パートナー」という言葉だったり、「絆」という言葉となったり形を変えて表現されています。コンプライアンスの重要性に言及されるところもありました。
これらの話から得られる「気付き」があります。それは、BCPやCSR、コンプライアンスなど企業としての取り組むべく課題は、そのいずれもが「つながっている」関係にあるということ、決して個々の問題として切り離して考えるものではないということです。
企業や団体のシステムは決して一枚板のものではありません。経営者の経営理念や従業員同士の現場での関係性や意識、また外部のステークホルダーとの関係など、内外の諸要素の複雑な結びつきによって成り立っているもので、重層的なものです。しかもそれらすべての諸要素の関係性は流動的なものです。「つながり」(リレーションシップ)を基底としながら、しかもそれらは流動的に結びついていて、どれひとつ同じものがない。もしそうであると仮定するならば、個々の企業や団体によってBCPやCSR、コンプライアンスは「異なるもの」であって当然、異なっているものでなくてはおかしい、ということになります。
私たちが取り組んでいるアーカイブへの支援事業は、固有の経営資源としての紙資料やデータを守ることを目的としています。いずれも企業が継続していくために欠くことができない重要な要素です。過去のことのみならず、今起こっていることを記録していく、残していくことは重要な行為です。残していくべきものは計画的に残していかなければいけません。BCPもCSRも皆、アーカイブを基礎として、その上に成り立つものであると考えています。今回のお話が、地道に経営努力をされている皆さんの一助になれば幸いです。