予防的〔プリベンティブ〕なケアの手法

脱酸性化処理 ブックキーパー法〔スプレー式〕

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19世紀の技術革新に伴い、大量に作られるようになった酸性紙が、100年程度で、粉々になってしまうほど劣化が進行している現象が世界中で問題になっています。その原因として挙げられているのがサイズ剤(インクの滲み止め)に添加される酸性物質、特に酸性の強い硫酸アルミニウムです。 酸性劣化した資料は内部から崩壊していくため化学的に処置しなければ、やがては失われてしまいます。専門的な診断の上で、水性法、非水性法により脱酸性化処理を行ないます。
非水性脱酸で現在世界でもっとも信頼されている脱酸性化処理法の一つがブックキーパー法です。TRCCで採用しているこの方法は安全で無害なアルカリ・バッファー緩衝剤を紙の中に残留させ、酸を中和させます。
処理によって図書、資料を傷めることなく、紙の寿命を3倍から5倍延ばすことが出来ます。酸化マグネシウム微粒子が紙の繊維の間に入り込み、紙中の酸を中和し、将来的な酸性要因に対してもアルカリ・バッファー(アルカリ供給源)となります。水を使用しないので紙繊維の膨潤が起こらず、シワやごわつきなどの変形がありません。アルカリ・バッファーは通常の保管状態では脱酸処理を繰り返す必要はなく、恒久的な処理となります。人体あるいは自然環境に対し無害です。溶剤および水の影響が全くないのでインク、色材、紙に変色や滲みの心配がありません。

デジタル化・複製の制作

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保存の現場においても、デジタルコンテンツ制作とのペアリング事業が一般化されてきました。デジタルコンテンツは、外部に向けた公開や、ローカル・ネットワークでの閲覧など、利用の促進に貢献するものでありますし、またオリジナル(原本)の利用を最小限に抑える意味では、オリジナルの保護にもつながるものです。
TRCCでは、入力は高精細の一眼レフ・カメラで撮影し、面付後、デジタルブックをPDF形式で作成します。また顔料インクを用いたジェルジェット・プリンターで出力した複製物を制作します。
入力から出力まで、同一工房内で作業することによりコストパフォーマンスに優れたサービスを提供します。
耐久性が高く、鑑賞にも耐えられる高精細の複製(「ジクレー法」を用いた複製)も制作します。

デジタル化・複製サービス

ジクレー版画技法の展示用複製作成サービス