パターンA 《修復》

修復工程

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パターンA《修復》:「東京国立博物館」での事例

工程ごとの内容

  • 方針検討・見積り
  • 引取
  • 記録・解体
  • 前作業
  • 修復作業
  • 裁断・断ち落とし
  • 仕上げ
  • 修復報告書作成
  • 納品

方針検討・見積り:訪問、画像・情報の提供

まずは費用の見積りを作成します。TRCCのコンサバター(修理技術者)が訪問して資料を実見し、見積もるのがベストな方法です。その他として、対象資料の概観撮影画像と損傷・寸法などの諸情報を送って頂き、荒見積りを作成することもあります。
この時に、仕上がりのイメージや今後の活用や保管環境などを確認し、作業方針・修復技法を決定しますので、見積り内容の作業内訳を作成する場合は、それが修復設計書の役割を持つことになります。

引取:お伺い・郵送

修復する資料をお預かりする場合は、基本、コンサバターが訪問し引き取ります(輸送費として見積りに計上)。弊社へのお持ち込みも可能です。その際に、ご希望に応じて修復の設備の見学もできます。また諸事情によっては郵送とすることもあります(郵送費は別途見積りに計上)。入札案件の場合は、対象資料を前に仕様の確認、注意事項などの確認をします。

記録・解体:現状記録・ドライクリーニング・解体

修復に入る前には、必ず現状の記録作業を行います。外観・中身のデジタル撮影(完成時に同じカットで撮影)を行ない、劣化損傷記録調書に諸情報を記入し、現状の記録を取ります。その後、必要に応じドライクリーニングを行ない、修復作業に向けて、資料を解体します。冊子の場合は、通し番号(ノンブル)を付与します。

前作業:開き、和紙留め(破片の固定)

修復作業を行うための前処理をします。汚損や過去補修、ラベル等の除去、色材の養生、またはインク焼け処置など、リーフキャスティング作業ならば、破片の固定や虫糞除去の作業(「開き」作業といいます)などを行います。

修復作業:リーフキャスティング・手繕い

修復作業は大きく分けて、リーフキャスティング、手繕い、ミニマムな繕い作業になります。資料の劣化損傷状態と予算、または仕上げの条件などを考慮に入れて、修復の技法は決まります。(技法については見積り時に確定)

裁断・断ち落とし:裁断器、メスカット

リーフキャスティング作業を行ったものは、一枚一枚余白部分を裁断器で裁断、またはメスで断ち落とし、全体を整えます。資料が酸性紙の場合は、脱酸性化処理を行なうこともできます。

仕上げ:保存製本、容器作成、返却物整理

仕上げの基本は、現状に復することです。しかしご要望、または必要性から形態替えすることもできます。その際はお見積りの時に十分な協議をします。
必要に合わせて資料と保存場所に合わせた保存容器を内部で作成し収納、または収納用具に収めることができます。
修復時に発生した破片や除去物などの返却物を整理します。

修復報告書作成:作業のまとめ

最後に、現状の所見や作業の工程、特記事項などをまとめたレポートを作成します。納品時に、資料と共に納品します。

納品:訪問・郵送

引取時と同様に、修復を終えた資料はコンサバターが訪問し納品します。また諸事情により郵送とすることもあります。