代表的な修復の技法

リーフキャスティングとは? 紙漉きの原理を応用した修復技法です

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リーフキャスティングは、修復費用、量、傷みなど問題を抱える紙資料の修復に、とても適した技法です。
リーフキャスティングは、資料の虫食いや破損、欠損部分のみ修復用繊維が充填されるので修復後も資料の厚みは変わりません。従来の裏打ちによる修復では失われてしまう簾の目やウォーターマークなどの情報も、リーフキャスティング法を施した修復は、触ったり、透かして見ることにより確かめることが出来ます。また、両面に文字情報が書かれた資料の修復にも適した技法で、修復後も、変わらず文字を読み取ることが出来ます。
修復用繊維と資料との接着には、水素結合等を利用しているので、糊に頼りません。当社の技術により、水と紙繊維のみでの接着で驚くほどの強度を得られます。
TRCCでは、アジア地域最大級のデンマーク製リーフキャスティング・マシン(最大80×110㎝の資料が入ります)を導入していますので、大量の資料に対して効率のよい作業ができます。また大判絵図なども修復する事が出来ます。
またTRCCのリーフキャスティングは、原料(欠損部分に充填される修復用繊維)にも品質の高い材料を厳選しています。和紙の資料には楮を主原料とした和紙の紙繊維、洋紙の資料には強度に優れリグニンを除去した木材の修復用繊維を使用しています。求めに応じまして、資料に使用されている紙繊維を分析し、合わせた修復用繊維を用いる修復も可能です 。(※オプション料金がかかります)

リーフキャスティング作業の動画

≪リーフキャスティングの歴史≫はこちら

手繕い(部分補強、全面補強)

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劣化症状と修復後の取り扱いに応じた、本紙への補強を行ないます。本紙の亀裂箇所には劣化症状に適した修復用の和紙を用いて部分的に補修を施します。また本紙の脆弱化(モサモサしたりパリパリして触っただけで崩れたり、穴が開いたりしてしまう劣化症状)した箇所を補強する際には、弱った箇所の大きさに喰い裂いた極薄の修復用手漉き和紙を生麩糊で裏から貼り付けます。本紙全体が脆弱化している状態の時には、全面に補強を行なうこともあります。

ミニマムな繕い

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本紙の強度が保たれ、小口や天地の欠損は少なく、虫食いによる損傷の程度も甚だしくない資料については、ミニマム(最小限)で、低コストな修復技法も選択が可能です。
繕い方法としては、虫損部分に極薄の修復用和紙を用いて部分的に裏打ちを施します。そのため修復後も本体の厚みが増加も最小限となります。この処置を施せば、閲覧時に虫損部から文字情報が欠落したり、亀裂などの損傷したりせず、貸し出す側、利用する側の双方にとって、ストレスのない利用ができ、活用の幅が広がります。