大量にある未整理資料の整理術 東海大学学園史資料センターでの事例①

東海大学学園史資料センター馬場弘臣様(東海大学教育研究所准教授)の声

●増え続ける保存資料-安価な保存容器を探し求めて
馬場弘臣先生 収蔵庫内

大学史・学園史といった分野では、種類はもちろん、形状も内容もさまざまな資料が大量に入ってきます。これらの資料を手際よく整理していくためには、方法はもちろんのこと、道具・用具も重要になりますので、ファイリング用品や保存箱でいいものはないかといつも探していました。これまでも市販の製品で便利そうなものはいろいろと試していましたし、たまたまですが、さる史資料保存機関で使っていたチェコ製の中性紙容器が安価で使いやすそうだと思えば、輸入して使ってみたりしました。資料保存向けの国産の中性紙容器をいつも使うには値段が高すぎて、費用対効果が感じられなかったからです。
大学史にかかわらず、資料センターで扱う資料は増える一方ですし、またそれを拒んでいては当センターの存在意義がありません。デジタルデータなどの管理も積極的に取り組み、いまでは一定の成果を収めるまでになっています。安心して資料を整理し、保存するためには、常に新しい情報を求め、実践すること。そのことを繰り返していくうちに、整理し活用するノウハウが蓄積されてきます。手をこまねいて静観するのではなく、果敢にチャレンジしていくことが大切だと感じています。

●大量の群資料の整理という課題
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あるとき、所有者から附属図書館に移管される大量の群資料を、当センターで一時的に預かることになりました。書簡や、新聞スクラップ。サイズや厚みが異なるカタログやパンフレット類。さまざまな種類の雑多な資料が、段ボール箱やスクラップブック、クリヤーファイルに入れられたまま棚を占有しており、どこから手を付けてよいか思案に暮れる状況でした。これらの資料を整理をするにあたり、以前より修復や保存を依頼しているTRCCの児島さんに相談しました。収蔵庫に入って資料をみてもらい、どのような保存用品がほしいかイメージを伝えました。整理しながら、安心して収納して、なおかつ利用する際も、一見して資料が目に見える、いわゆる「見える化」された状態ができる機能を持っているもの。難題であることを承知で、そのような機能をもったものがないか、調査をお願いしました。

●新しいファイリング用品の出来栄え
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しばらくは音沙汰がありませんでしたが、あるとき、私の要望が反映されたファイリング用品をができたので見てほしい、と連絡が入りました。市販のものでは、こちらが要望した機能を持つ商品はなかったそうで、結局、自前で制作した、とのこと。果たして、それは思っていたとおりの出来上がりでした。資料が入れやすく見やすいので分類がしやすい。その上値段も手ごろな透明フォルダです。箱ではなく4穴バインダーに収納します。これも自前で用意されたとのこと。これは手にとってすぐ広げて閲覧できるのがとても便利です。フラップが天側と綴じ側についていて、中に入った資料をしっかり押さえてくれます。これなら飛び出したり、ホコリが入る心配もありません。このような機能をもったクリアーフォルダは見たことがありません。個人の研究資料の整理用にも購入してしまいました。
次は、厚みのある資料を入れるためのマチ付のフォルダやサイズの異なるフォルダをリクエストしていますが、制作コストを考えると、なかなか実現が難しいようです。いくら機能が盛り込まれていても、値段が高ければ、大量の資料を収納するのに適しません。

●増え続ける資料の保存には適材適所で収納容器を選ぶ

増え続ける資料の整理と保存をしている立場として、まず第一に考えることは、安心できるものを、安定して手に入れることができるかどうかということです。ネットでやっと探し当てて、私たちが便利に使っていても、一般にあまり売れない商品であったりすると、廃番となり入手できなくなることがよくあります。たとえ大手メーカー製であってもです。廃番を気にせず、多くても少なくてもいつでも買えるというのはとても助かります。
次に考えるのは、コストと使いやすさでしょうか。価格が安くないと継続して購入できません。このフォルダの素材には一般のクリヤーフォルダと同じポリプロピレンの材料が用いられています。整理したい資料は、文化財でもなければ、貴重品でもありません。ある程度の安全性があれば、この素材でもよいと思います。また収納するバインダーも、資料に触れないのですから、別に素材は酸性紙でもよいと思っていました。保存性にとらわれすぎて、高品質なポリエステル製フィルム、バインダーの素材も中性紙でないとだめだと考えてしまうと、値段がかなり高くなりますし、扱いにも神経を使います。群となっている大量の資料の整理は、収納具の保存性ばかりを望むと行き詰ってしまうものなのです。保存用品の素材も、適材適所ですね。