保存環境の調査・海外への支援
環境調査
温湿度調査 : 大切な資料が置かれている収蔵庫の「声」に耳を傾けていますか?
日本は四季があり、高温高湿の季節と乾燥する季節が一年で一回りする環境です。温湿度の変化は、大切な資料に対してさまざまなストレスを与えます。化学的な劣化(酸化・分解)の手助けをし、結露による水の被害を引き起こし、紙の力を衰えさせます。また、カビなどの微生物の活動も、高温高湿の環境の下で活発化します。これらの被害は、日々の温湿度管理や清掃作業により緩和させることができます。
空調の動きや人の出入り、外気の影響、また空気の滞留などのさまざまな現象が誘因となって所蔵環境が悪化することなるのですが、温湿度計の目視記録だけでは問題は見えてきません。
TRCCでは、データロガー(Data Logger)を用い、温湿度のデータの測定・回収・解析を行ない、解析したデータをもとにデータのグラフ化、現況の考察、今後の対策などをレポートにまとめて提出します。
国際協力
世界には多様な種類の紙資料があり、さまざまな環境の下で利用され、また保存されています。劣化損傷の状態も地域によってさまざまです。日本の持つ修復の技術は、海外において応用が期待できるものとして注目されています。国際交流基金、外務省等の助成を受け、インドネシア、ベトナムなど東南アジア地域やアルメニア、トルコ、サウジアラビア、イエメンなど西アジア地域の古文書修復および保存に関する指導や文化に関する無償資金協力などのお手伝いをしています。過去には、ベトナム国家文書局の専門家を受け入れ、ベトナム国内では難しい同国所蔵の重要歴史文書の修復と研修を行いました。