アーカイブズの「量」から考える 量という視点を導入して、考えてみましょう

■所蔵資料をカテゴリー分けして、量(volume)という視点から考える

ABC
A 貴重資料:一点もの、古く、価値が高い。誰が見ても重要なもの
B 所蔵機関にとって重要な資料 他にはない特徴的な資料 機関アーカイブズ
C 年々増える。ほかの所蔵機関にもある資料 廃棄可
A B C
少量 中量 多量

所蔵資料の全体量から見ると、「B」や「C」が圧倒的に量が多く、「A」の貴重資料は少量です。保存計画を立てる時には、まずは「A」に、目が向かってしまうでしょう。

ここにしかない、しかも大量の資料を、どうやって保存しますか?

長期的保存 中期的保存 短期的保存
High Cost Middle Cost Low Cost
A   B   C
Aは修復される   BもCも「何も」手を付けられず放置される

Bのようなカテゴリーのものを「群」として、指定文化財と認められる事例は増えており、残すための処置をしなくてはなりません。大量のものを保存し活用していくという問題に対応できていないのが現状です。予算も莫大なものになり計画そのものが頓挫してしまうか、俎上にものぼらず放置されるものがほとんどではないでしょうか。なぜでしょう??

「少量の修復の考え方から抜け出ていないところで、大量の資料の保存計画をたてると、途方もない多額の予算が計上され、予算化もできずに放置されてしまうのではないでしょうか。」

大量にある資料は中期的な保存と考え、限りある予算のなかで、より多くの資料を保存していくという「発想の転換」が必要です。保存処置どころか、そのまま放っておかれてしまいますと、整理もされていない、ラベルも貼られていない、請求番号も付与されていないものは、経緯を理解しない人に引き継がれてしまうと、最悪廃棄されてしまいます。そのような事態は避けなければなりません。